異色キャリアの心療内科医の挑戦 〜ツールを使って医療のあり方を変える〜

前回の続き〜

もう歯医者さんは怖くない!!VRを使って楽しく歯科治療を読んでいない方は第一部もどうぞ

コンテンツ面について

江口:コンテンツ面についてはどのようにお考えでしょうか。

松村先生:今動いているところでいうと知育コンテンツがございます。知育企業は保育園・幼稚園に向けてコンテンツの提供をしていますので、それを小児歯科でも活用しようと考えています。

江口:確かに、保育園でみているコンテンツと同様のものが見れると子どもウケは良さそうですね。著作権の関係で難しそうではありますが、アニメはお考えではないのでしょうか。

松村先生:検討はしていますが、著作権の関係で簡単ではありません。著作権については比較的シンプルなものもあれば、複雑なものもございますが、交渉が必要でありすぐに導入というわけにはいきません。

江口:では、現状は知育コンテンツを提供している企業と協業してコンテンツの充実を目指しているといったところでしょうか。

松村先生:そうですね。他には歯科関連企業が独自のマスコットキャラクターのコンテンツを制作するケースもあるのではないかと考えています。

江口:独自のコンテンツはお考えではないですか?

松村先生:リソース面などでやはり独自コンテンツとなると少し時間がかかりそうです。小児科の先生と話している際にお聞きしたのですが、子どもは自分が小さいとき(赤ちゃん)の写真を見せるとじっと見入る傾向があるようです。これは確かにすごく面白いなと思うところがあります。しかし、コンテンツの制作については、どこから進めるかまずニーズの整理が必要だと感じています。

江口:ありがとうございます。確かに自分の小さい時の写真というのは思わず見入ってしまいそうな気もしますね。

サービスに込められた思いに関して


(心療内科の基盤、心身医学的アプローチ)

江口:それでは最後になりますが、このサービスに込められた先生の思いに関してお聞かせいただけますでしょうか。

真野:このサービスが世に出なかったら、世の中にもたらされるはずの変化が失われると思うのですが、そこも合わせてお聞かせください。

松村先生:まず、サービスが出なかったらの方からお答えしますが、患者が自ら頑張って治療するという取り組みを前に進めることが難しくなると思います。小児に対する治療でお子さんが泣いて暴れるのをやむなく押さえつけることは医療提供側にとって忍びないことですし、親御さんにとって辛いことであると思います。しかし、治療する上で仕方がない行為という共通認識があることが、こうした状況を安易に受け入れることにつながっているのではないでしょうか。押さえつけるという方法以外の可能性を提示することで、現状に一石を投じることができればという思いがあります。

また、サービスに込めた思いに関してですが、患者さんの思いや患者さん自身の癒える力を後押しする医療を実現したいという思いがあります。こちらは、私が医療に興味を持つきっかけとなった医師になったことにもつながってきますが、患者としての私の体験に起因しています。

治療を受ける中、もう少し私自身(患者自身)の思いが治療に反映されてもいいんじゃないかと思うことがあり、それがきっかけで医療におけるパータナリズムに疑問を持つようになりました。パターナリズムとは、私に任せておきなさいというスタンスでの診療のことです。もちろん医師としてそうした姿勢で治療に臨むことことはが必要な場面はありますし、私自身も医師として、全くそのように振舞うことを選ぶ時もあります。けれど、パターナリズムありきでは決してないと思うのです。

患者と医療提供側は一緒に治療に参加するパートナー。パートナーの力を最大限高めるための努力と工夫を惜しまない姿勢こそ、あるべき医療の姿であると、実践を通じて伝えたいという思いがあります。

江口:専門的な治療に患者が自ら参加することは簡単ではないと思いますが、ツールをサポートし、新しい治療のあり方を見つけていくと言ったところでしょうか。

松村先生:そのようなイメージです。治療というのは患者さんの治る力を後押しするものだと私は思っています。もちろん手術や薬が柱となるとは思い治療もあります。一方、必ずしも薬を必要としないケースも少なくありません。例えば、眠れないと言って心療内科外来を訪ねてくる患者さんの中には、潜在的な鉄欠乏が主な原因という方が少なからずおられます。根本的な治療は、睡眠導入剤の内服ではなく、食生活の見直しです。

真野:確かに薬に依存しすぎてしまうと、本来の癒える力は引き出せませんよね。

松村先生:その通りです。薬が必要な場合も、もちろんありますが、患者さんが納得した形で薬を処方することが重要になってくると思います。医師と患者が信頼しあって、患者側も医療提供側も十分納得した形で医療を実現できる環境を作っていきたいと考えています。

江口:インタビュー前半では歯科治療にVRを用いた貴社の取り組みを中心に、後半ではサービスを提供するにあたっての思いや今後の医療のあり方に関して先生のお考えについてお話いただき誠にありがとうございました。医療業界を勉強するにあたって非常に大切な要素が詰まっていたと感じます。今回はお時間をいただき、誠にありがとうございました。

株式会社BiPSEE


(システム開発の様子)

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